面白いマニ教

個人的な興味で宗教学が好きで、稀に時間があれば関連した本を読みます。

青木健先生の「古代オリエントの宗教」という本が非常にエスプリが利いててなんとも笑えてお勧めです。

 

古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)

古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)

 

 

今日はそんな古代オリエントの宗教の中からマニ教という消えた世界宗教について。

 

こんなに面白いマニ教

 

宗教っていうと「胡散臭い」「怖い」「ヤバい」の3点セットが日本人特有の感覚かと思いますが、マニ教はまさにその3点セットを兼ねそろえた感じ。

まずは神話を見てみる。アンダーラインと太字が神話のまとめ。

 

かつて「光の父」と呼ばれる大いなる存在が光の王国にいた。

対して「闇の王子」と称される存在が闇の王国にいた。

光の王国と闇の王国は争っていた。あるとき光の父は最初の人である原人オフルミズドを生み出し、闇の王国へ派遣するが、力及ばずオフルミズドは捕囚されてしまう。

この敗北を受けて光の父は「光の友」「偉大な建設者」「生きる精神」を遣わして闇の種族と戦い、首尾よく宇宙を創造して闇全体の封印に成功する。

 

首尾よく宇宙って創造できるものなの?

 

一見闇を封印できてオールオッケーかと思われた光の王国…しかし闇の種族はアダムとイヴを反対創造しそのなかに捕虜にした光の要素を逆封印した。

 

反対創造と逆封印ってなに

 

こうして光の要素は人間の肉体に捕囚され、本来の故郷を見失ったまま闇の種族と共に暗黒の中をさまようべく運命づけられてしまったのだ…。

 

つまり、われわれは闇の種族の体に光の種族の魂をもった迷える仔羊ってこと?

 

だが、我々にはまだ希望があった!光の王国とこの世界の伝達役として「イエス」が現れたのだった。我々はイエスの導きに従えば光の王国へ還ることが出来るのである。まる。

  

マニ教旧約聖書新約聖書を一応踏襲してますが、旧約聖書新約聖書の間の整合性があまりとれていないことを疑問に思ったマーニー・ハイイエーがこの聖書ストーリーをめっちゃ深読みしてオリジナルストーリーを付け加えて同人誌みたいにしちゃったものだそうだ。

マニ教で面白いのはイエスがやたら多い事。マニ教で現れるイエスは「ナザレのイエス」「天上界の輝けるイエス」「地上の使徒イエス」「裁きのイエス」などなど…歴史のあらゆるところでイエスが「オッス!オラ、イエス!」って顔だすわけですね。

このイエスいろいろ努力するわけですが、この世を完全に救ったわけではありません。そこで登場するのが「マニ本人」です。

最初はイエスの弟子みたいな感じで登場するわけですが、次第に世界最強の使徒として扱われるようになっていきます。

でも禁欲的かつ厭世主義なマニ教太宰治の小説みたいなノリで結構流行ったらしく他の宗教には結構いろんな影響を与えてるとか。世界初のニヒリズムかも?

 

まあでも結局はドラゴンボールみたいなもんなんですかね。

 

おわり